▲ ショパンの主題による追走曲
作曲 清水昭夫(2013年12月)
『ショパンの主題による追走曲』について
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主唱について
ショパン「エチュード op.25-7」の冒頭を使用しているが、原曲のこの部分には小節線が無いので、アウフタクトを持つ3/4拍子とした。
このように考えた場合、主唱は1拍目で終わるため、次の主題の導入(3拍目)まで結句を続けた。
答唱について
主唱の冒頭は属音だが、結句で転調しており真答唱(正答唱)を用いている。
『学習追走曲』によれば、冒頭の属音は主音で応答しなければならないようであるが、「音楽的に性格が変わる場合は正答唱にする」(フーガ書法)との記述も見られる。短調の Sol# - Re# で変答唱を作ると、Do# - La# となり、La# が扱いづらい。
真答唱を用いた結果として、主題冒頭の「5度上行」の素材が生きることとなった。
形式について
本作品は学習フーガの形式をできる限り正確に伝えることを目的として作曲しており、ほとんどの部分において模範的となるよう努めた。
素材の活用方法など、映像において楽譜の一部を見ることができるので、参考にしていただきたい。
作曲してみて思うこと
学習フーガは便利である。
記されたとおりに書けば、ある程度の様式感を修得できる。
また、フーガの学習は主題の導入方法など対位法的処理方法の修得にとどまらない。例えば喜遊部における素材の活用はソナタ形式の展開部における書法を学ぶに等しく、属音度機能により音楽の頂点を表現することを学ぶのは 、同形式で再現部へ向けて音楽的頂点を築く書法を学ぶに等しい。
一方で、フーガは芸大入試で5時間以内に書くとか、パリ音楽院の中間試験17時間で書いたとか、「学習」であるためか一定の時間内で書けることが求められることが多いが、本来は多くの時間をかけて完成度を高め、音楽作品として残していくべきものなのだろうと感じる。私は本作品を書くに当たり、少なくとも30時間は要した。
ショパンが練習曲を芸術に高めたように、学習フーガを芸術に高めることができるのではないか、またはそうあるべきなのだろうと思う次第である。