ここまで、T→D→T、T→S→D→T、T→S→Tという3つのコード進行についてお話しましたが、
これらは「カデンツ」(Kadenz/ドイツ語)といって、ハーモニーを組み立てるための大事な公式ですので、
しっかりと覚えて下さい。
K1(第1カデンツ):T→D→T
K2(第2カデンツ):T→S→D→T
K3(第3カデンツ):T→S→T
【ポイント】
・Tは、次には、SにもDにも進行できる
・Dは、次に必ずTに進行し、Sには進行しない。
・Sは、次には、TにもDにも進行できる。
上の8小節のハーモニーの例では、3つのカデンツすべてが含まれていて、
かつK2が前半の4小節にわたって2度用いられています。 始めの2小節を見ると、
1小節目のTのところでは、Ⅰ△7とⅥm7いう2つのトニック・コードが、
2小節目のSのところでは、Ⅳ△7とⅡm7という2つのサブドミナント・コードが続けて用いられています。
このように同じ和音機能のコードを続けて用いること、いわゆる連用もできるのです。
なお、トニックの連用ではⅠ△7→Ⅵm7、サブドミナントの連用ではⅣ△7→Ⅱm7 の順番となっていることに
注目して下さい。この逆の進行、すなわちⅥm7→Ⅰ△7というトニックの連用、Ⅱm7→Ⅳ△7というサブドミナントの連用は、ふつうあまり見られません。