これまでは、すべての弦楽器をひとくくりにしてみてきました。今度は各楽器ごとに、その特徴を簡単にみてみます。
弦楽器の中で一番高い音域をもっていて、華やかな音です。
4本の弦にはかなり個性があり、音色は多様です。
静かで穏やか、激しく情熱的、悲劇的、明るく陽気、といろいろな曲想を表現できます。
コンチェルト、ソナタなどヴァイオリンには数多くの名曲があります。
オーケストラでも花形で、主旋律を担当し中心的役割をはたしていきます。
ヴァイオリンより胴体が大きいのですが、楽器のかまえかたは一緒です。
弓はヴァイオリンの弓より短くて重くなっています。
音はヴァイオリンとは違い、味わいのある渋い音です。
オーケストラや室内楽ではあまり目立つことがなく地味ですが、実は大切な存在なのです。
内声部(ないせいぶ)といって、和音の音をおぎなう、リズムを刻む、といった陰から全体を支える役を担当しています。
現代の作曲家がヴィオラに注目し、ソロとして活躍する曲が増えてきています。
胴体が大きいので、演奏者はイスに座り、両膝の間に楽器おいて弾きます。
弓はヴィオラよりさらに短く重くなります。
音はかなり朗々としていて、表現力に富んでいます。
とくにA線(一番高い音の弦)で弾く音には “張り” があり、他の楽器と一緒に弾いていても際立ちます。
オーケストラや室内楽での役割はまさに七変化、一曲のなかでも変わっていきます。低音パートとして音楽の土台をつくったり、ソロとして輝かしく旋律を歌ったり、あるときは伴奏者になったり、と幅広い活躍をします。
ヴァイオリンほど多くはありませんが、コンチェルト、ソナタなどソロの楽器としての名曲が数多くあります。
チェロよりさらに胴体は大きいので、立って弾くか、コントラバス用の高いイスに座って弾きます。弓もさらに短く重くなります。
楽譜に書かれている音の高さの1オクターヴ下の音が鳴ります。音色は低くこもったような感じです。
はっきりと通る音ではないのですが、 オーケストラ全体の音に厚み、深さ、といったものをだしてくれます。
この効果はフレーズの途中からコントラバスが入ってくるとよくわかります。
弦が太いので Pizzicato の響きぐあいは抜群で、重くなりすぎずに低音を支えることができます。
表に立って目立つことはなかなかありませんが、音楽を支える骨格の役割を受け持つ重要なパートです。